ペレン島を含む周辺の離島ヒラタは各島とも特徴的なので、スラウェシ本島を挟んだ逆側に浮かぶTogean諸島にヒラタが生息していれば、やはり離島ならではの特徴が出ているのではないかと考えTogean諸島を目指しました。(地図上ではTogianになってますが上陸したら表記はTogeanでした)
【画像1】 30m位あるレトゥンの木で、太くて腕が回らないためスタッフに下から鉈で手の引っ掛かりを作りながら登らせ、23m位のウロをチェックさせているところ。(レトゥンにそっくりな木は各島に沢山あるのですが、クワガタが付く木を見分けるのは困難)
Luwukでスタッフ3人(2人は離島の原住民で、木登り役として呼び寄せた)と待ち合わせTogean諸島に渡る手前の港町まで行き、上陸のルートを調べると最初にBatudaka島に渡る定期船が週に3便しかなかったので、1泊し漁師の船をチャーターして渡る事にしました。
朝、船がある海辺まで行くのにスタッフに車を探してこいと言ったら無かったらしく馬を見つけてきて(爆笑)、馬の荷台に私とスーツケースを乗せて船のある場所まで向かいました。(約20分ですが町の人にジロジロと見られ超恥ずかしかった)
船に乗って、途中に小さな港町に寄りながら約5時間かけて夕方Batudaka島に上陸しました。
翌日、朝バイクを借りて(小さな島なので一般車両はなく、工事車両しかない)山へ行くと原生林が多くカンボルアン(スラウェシ地方でヒラタ、メタリフェル、ブルイジン、イソジン、ダールマン、ホワイト赤マンが採集できる木)が多数生えていたので、カミキリの幼虫が開けた穴を数十本チェックしましたがクワガタは何も入ってませんでした。
ネブトすらいなかったので今度は枝先でメタリフェルやダールマンを探すため、4人バラバラになって山に入って行き条件の良いカンボルアンをチェックすると、アトラスオオカブト♂♀(胸角が伸びきった90mmup)が日中にもかかわらず樹皮を剥いで樹液を吸っているのを私が発見しました。
日中にアトラスが発酵した樹液を吸っているのは初めて見る光景だったので、驚いてアトラスをよく観察すると樹液に来ていた理由が分かりました。(原生林で長年採集している私しか知らない貴重な生態の知識なので、HPには書けません)
木を蹴ると、エサ場争いに負けた小型アトラス3頭とダールマンが落ちてきました。
周辺のカンボルアンをスタッフが徹底的に探しましたがクワガタが採れたのはこの木1本だけでした。
《※ 通常アトラスは日本のカブトのように発酵した樹液には集まりません。例外で周辺にメインのエサ場がない場合は集まる事もある。ヤシ系の酒には集まります。》
次の日も朝見に行くと同じ木にアトラスが来ていて、他のポイントではダールマン87mmは採れましたが、好条件のカンボルアンはあるもののヒラタやメタリは採れませんでした。
【画像2】 なんと23m位のウロの樹液を吸っていたBatudaka島初ブルイジン45mm(この島の個体は全て上翅にV状の黒紋が出ている。亜種か?) 通常は別な木の枝先でよく採れます。
上陸3日目に別な原生林を調べに行くと、高さ30m位あるレトゥンの木(ペレン島周辺でヒラタが高確率で採れる木)で23m位の場所にウロの開いているのを見つけたので、原住民スタッフに登らせる事にしました。
木が太すぎて手が回らないため鉈で下から傷を付けて足場を作りながら登らせ、ウロ
をチェックさせるとクワガタがいたというので、私は『ヒラタ』だと思いました。
スタッフが採ると噛まれた様子で「痛い!」と言いながら手を振って下に投げようとしたので、私は「我慢してそのまま降りて来い!」と言いました。
スタッフが降りて来て私の前で手を広げると、なんとブルイジンの♀でした。
他のウロがまだ沢山あったので調べさせると、ブルイジン♂45、43、41、40、30mm台3頭、3♀がウロ入り口の樹液で採れて、ウロの中にはヒラタやパリーオオクワは入ってませんでした。
4日目も早朝から手分けして山に行きましたがダールマン、オキピタリス、ブルイジンしか採れなく、島が暑すぎて私は熱中症ぎみになったので、諦めてTogean島に渡る事にしました。
夕方に船をチャーターしてTogeanで1番高い山の麓の村まで3時間かけて行き、宿などは当然全く無いので、いつもの「すみません怪しいものではないので、泊めてくださーい」とお願いして見ず知らずの家に泊めてもらいました。(いきなりお世話になるので、私は宿代として普通の2倍以上はあげて来ます)
翌朝、山を調べに行くと伐採された畑ばかりで原生林が少なく、ペレン島周辺なら絶対メタリフェルが採れるような良い木があっても、ダールマンしか採れませんでした。
Togean島もBatudaka島と木の種類が同じなため、ヒラタやメタリフェルは採れないと判断したので、秘密の離島に向かう事にしました。
夕方から漁師の船を探し、カヌーみたいな屋根なしの船に無理やりヤマハのエンジンを付けた、どう見ても不安定でこんなんでスラウェシまで帰れるのかみたいな船しか見つかりませんでした。夜10時、真っ暗闇の中出発し途中ドシャ降りの雨をうけブルブル震えながら、船がひっくり返るような恐ろしいスピードで普通は5時間かかるところを3時間半でスラウェシまで帰りました(超恐)。
※ Batudaka島の原生林の土壌はペレン島周辺とは違い、トルシオンの木(ヒラタが多く採れるドングリ系)が全然生えてなくレトゥンやカンボルアンのウロにヒラタなどが入ってないので、ドルクス系が生息していない可能性が高いです。
Togean → 秘密の離島
スラウェシ島に深夜に着いてそのまま車を探して別な港町まで行き、朝方着いて更にそのまま船に乗って私は秘密の離島まで渡りました。その後にペレン島に渡る予定だったのですが時間がなかったため、原住民スタッフだけペレン島に行ってもらいブルーのメタリフェルを探してもらう事にしました。
【画像3】 秘密の離島ヒラタ99mm(アゴが欠けてなければ100mm)T-TOP採集 本島に比べ光沢があり首が太い。
秘密の離島はウロの開いたトルシオンが多いので、いつものポイントまでバイクで1時間、歩いて1時間半かけて行き99、92、91mmを採集しました。(この島は3日間採集すれば95mmupが多数採れます)
【画像4】 私の原住民スタッフがペレン島で採集したブルー・メタリフェル(後付け撮影)《私がバンクルン島で採集したブルーのほうが遥かに綺麗》
2日後にスラウェシ島の港町で原住民スタッフと待ち合わせると、ブルーのメタリフェルの採集に成功して持って来ました。
私はそんなに簡単にブルーが採れると思ってなかったので(たまたま幸運に採れた)、「うわー俺が行って自分で採りたかったなー!」と悔やんでスタッフにボーナスをあげました。(今回は時間が無く、私のスタッフは素人なので採らせましたが、現地のプロのキャッチャーなどには頼みません)
秘密の離島 → アチェ・プロナス、北スマトラ・シディカラン (離島 → Luwuk → Makassar → Jakarta → Medan)
【画像5】 アチェ・プロナス産 天然92mm T−TOP採集
プロナスで前回良いウロのポイントを見つけたので95、94、92、91、91、80mm台を順調に採集し、6m位の高さのウロに大型がいたのですが採り出せなかったため、後日戻って採る事にしました。
【画像6】 オオタニワタリなどの着生植物の下に身を潜めて、樹皮を剥いで吸っていたヒラタ(外側からは見えなく、草を剥がさなければ分からない)高さ3m
翌日シディカランへ行き、前回採集した極太怪物アゴのような個体がまた採れる事を期待してワクワクしながらポイントへ向かい、92(天然極太)、91、80mm台を採集しました。
次の日もシディカランで採集する予定だったのですが日本から親戚の不法の連絡があり、予定を変更して急遽帰ることにしました。
プロナスのウロに採り残した大型は出したかったので、翌朝早くプロナスまで移動し時間が無かったので、スタッフにウロを鉈で拡大させて、採ったのは97mmでした。
![]() 2012年10月10日〜24日 ミンダナオ島〜パナイ島採集! |
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